株式会社やまと蜂蜜代表取締役社長 鳥居大嗣 ✖️ 株式会社Momentor代表取締役 坂井風太氏

対談

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「組織を良くする方法も、
ものづくり」

全社員研修で見えた、現場の発明力

「幹部候補は、全員ではないか」
全社員研修という判断

坂井

今回、研修で接点を持たせていただきましたが、私が特に驚いたのが、全社員で研修を受講されたことです。社長や副社長だけでなく、全社員で受講するという判断は、どのように生まれたのでしょうか?

鳥居

そういう会社は、どのぐらいあるものなのですか?

坂井

率直に申し上げると、ほとんどないですね。同規模の会社でも、マネージャー層のみというケースが大半です。「全社員で取り組んでいる会社がある」と、私自身も驚きました。

鳥居

そうだったのですね。副社長と相談して、最初は「幹部層、あるいは幹部候補層に絞るか」という話もしていたんです。ただ、「では、幹部候補とは誰のことなのか」と考えていくと、「結局、全員ではないか」という結論に至って。

坂井

「全員、幹部候補」は素晴らしい発想ですが、それは鳥居さんが常に「相手の中にある価値」を見出そうとしているからこそ、出てくる言葉なのだとも思いました。

共通言語化と、
「予想していなかったスパーク」

坂井

全社員で受講したからこそ生まれた変化は、どんなものでしたか?

鳥居

結論として、本当に良かったと感じています。共通言語化が、一気にできました。それから、予想していなかったスパークが生まれた感覚もあって。

最終の研修発表は、私もすべて見たのですが、みんな本当に良いことを言うんです。「こういう一面があったのか」と発見することが多かった。これは恐らく、社員同士の間でも同じことが起きていたと思います。「あの人は、こういう人だったのか」と。

日々の会話、社内のコミュニケーションが、すごく良くなったな、と感じています。

坂井

朝礼でも、最初は少し恥ずかしそうではあったものの、みんながお互いの良いところをちゃんと言葉にするようになった、と伺いましたよね。

鳥居

そうですね。

食品メーカーには、
もともと「論理の素地」があった

坂井

今、振り返って思うのですが、朝礼の運用を自分たちで変えるとか、研修で学んだ内容を現場で咀嚼して試行錯誤してくださっていたのも、御社の「実験のカルチャー」の表れだったのでしょうね。ものづくりの現場の試行錯誤が、そのまま組織づくりにも転用されていた。

鳥居

確かに、そうかもしれません。私も最初は、坂井さんのああいう理論的なお話が、現場には難しいのかな、と思っていたんです。ですが、当社はある種、エンジニア的な仕事をしているので、ああいう理論立てて「こういうふうにやる」というのは、意外と逆にやりやすかったのかな、という気もしています。

坂井

エンジニアリング文化、ということですね。これがまさに「現場実践力」だと感じています。

鳥居

当社は食品なので、品質管理の仕組みを結構ガチガチにやるんです。意外と高度に、論理的なことをやっていて。トラブルが発生した時の原因追及とか、トヨタ式に近い手法を、食品では特にしっかりやります。

なので、組織開発の理論を扱う素地は、もともとあったみたいな気はします。

坂井

「組織を良くする方法も、ものづくり」という感覚ですね。日々の製造現場で「課題→原因追及→対策→検証」をやっているチームが、組織課題に対しても同じ思考で取り組める。研修で学んだ理論を「自分たちの現場でどう実装するか」へと、自然に変換していたと理解しています。

鳥居

そうですね。課題があって、原因追及して、対策を立てて、これでやってください、というのを、製造は特に日々やっていることなので。営業や事務方も、品質管理には触れているので、自然に翻訳して理解してくれているのかな、という気はします。

坂井

これが「現場力」ということなんですね。

思いやりが「面倒見の良さ」
として現れる

坂井

研修中、印象に残っているシーンがあります。ある社員の方が、研修で皆が揃う前に、「今回ミスがあったが、こうすれば大丈夫だから。最初からできるものじゃないから」と、後輩のフォローをしながら淡々と話されていた。すごく面倒見が良いな、と感じました。御社には、人を糾弾する文化がないのだろうと感じました。

鳥居

確かに、あまりないですね。今、人柄の良い社員が多くて、私や副社長も、そういう人を上の役職に上げているところがあって。いわゆる「ブリリアントジャーク(優秀だけど嫌な人)」が、いないというか。

実際、製造現場では、トラブルがあるんですよ。きつい瞬間がたまにあって、そこで人間力が問われる。そういう場面で逃げずに対応する人に、人望が集まる。そういう人を、私はプラスに評価したいと思っています。

坂井

もう一つ印象的だったのが、若手社員の方々が萎縮せず、自分の言葉で語っていたことです。「自分のほうが偉い」と思っている人がいないから、若手も萎縮しないんでしょうね。これは恐らく、鳥居社長の影響が大きいのかなと思います。鳥居さんは、研修中もご自身で議事録を取られたり、録画もされていましたよね。

鳥居

本当に、みんなホワイトボードを消さないので、私が帰り際にサーッと消したりしているくらいで(笑)。

坂井

社長がフラットだから、組織全体がフラットになる。階層的な空気が生まれない。だからこそ、冒頭の「実験のカルチャー」が生まれているのかもしれませんね。

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